隠すほどの爪なら無い

自分自身の、この自我というものが消滅することへの覚悟はできた。苦しみからの開放・・・。だけど、だけどあと少しだけ、続きが見たい…!

スパコンの予算はやっぱり1800億円も要らないと思うが、この問題は結構深い

科学技術系の人たちが脊髄反射で反論の嵐が巻き起こっていますが、個人的にはやはりスパコンの予算はこんなに要らないと思います。
昨日ニュースで聞いたのですが、現在世界最高レベルのスパコンですら開発費に100億円もしないとのこと。要は、「スパコンが要らない」のではなくて「スパコンの開発に1800億円(概算要求額)も要らない」ということなのです。現存する世界最高レベルのスパコンですら100億円しないのに、コストが時系列で低下するコンピューターの世界なら、同額で倍くらいの性能のものは作れるはずですね。
これを「スパコンが要らない」とマスコミが報道するから誤解が起こるのでしょう。1800億円のうちスパコン代が100億円としたら、残りの1700億円はどこに行くのか、というと何も仕事しない天下り職員の莫大な報酬とか、あまり必要なそうな箱物とかに流れていくんでしょうなぁ・・・。

で、これを「深い」と思ったのは多分、毛利さんとかも反論しているのは、1800億円くらい予算をもらわないと、本当の技術開発に使いたい100億円が得られないからなのでしょうな。
1800億円を100億円に減らしたからといっていきなり何も仕事しない天下り職員の給料がゼロになって100億円が全部スパコン開発に割り当てられるってことではなく、やっぱり中間で散々お金が吸い取られて肝心の開発費に回ってくるのが2億円くらいになってしまうから、ってことなんでしょうね。

この中間搾取のムダ構造が「深い」と思ったゆえんであります。
てかなんで毛利さんとかもそれをある程度は是正できる立場のはずなのになんとも出来んのだろうか。やっぱり深い。

で、TAZも言っていたのですがやっぱり利益度外視のお国でやろうとするからこういうムダがボコボコでてくるわけで、民間でやるべきということになるでしょうね。民間ならシビアに費用対効果が問われますから。
高々100億円で出来るスパコンなら何で民間だけで出来ないのか、不思議で仕方ありません。うちの会社も何千億もする工場勝手に作ってます(ま、多少自治体とかには援助してもらってるみたいだけど)。世界最強のスパコンを作った会社に国が報奨金を払うとかじゃダメなんかいの?

昔から言われてることではありますが、日本はアメリカとかに比べて産学の連携が弱く、科学者・技術者が育たないといわれているゆえんであります。この基本的な構造を正さず、砂漠に水を撒くがごとく湯水のように予算を投じたところで、技術立国の威信を取り戻すことは難しいでしょう。

科学技術への投資は必要でしょうが、現在のやり方では無駄が多すぎると、そういうことです。
そういう無駄を省くのが民主党のマニフェストであり、「スクラップアンドビルド」でいったん全部つぶしてしまう、というのはアリかという気もします。
廃止ありきの事業仕分けだと批判が多いですが、私は廃止ありきでいいと思います。本当に必要なものなら、焼け野原からでも再びよみがえってくるはずです。

あと、スパコンにそんなに注力する必要性があるか、と思ったのは少しスパコンの勉強をしたからです。実は、スパコンとは(米国産の)インテル製CPUが「死ぬほどたくさんつながった」装置です。そのつなぎ方(ネットワーキング)と制御を確立するのがスパコン開発です。
でもこの方法論はある程度確立されているもので、理論的には接続するCPUの数を増やすだけでパワーは倍増することがわかっています。要は、ナンバーゲームになっているわけで、「ノイマン型コンピュータとはまったく方式を異にする第4世代コンピュータの開発」などとはまったく一線を画するべきもので、「開発」というよりは「事業」といったほうが良い代物でしょう。粒子加速器なんかと多分似ています。

金さえかければいくらでも世界一になれるものに、死ぬほど金かけて世界一を取る事が「先鋭的な研究」と私は思いません。たとえば、「1億円で、今100億円のスパコンと同じ能力のスパコンを作る」との方が「先鋭的な研究」ではないでしょうか?

ホンダもF1から撤退しました。いい加減、砂漠に水を撒くような国主導の技術開発からは脱却すべき時期が来ている気がします。マスコミや、利権がらみの科学技術者もどきの人の意見に惑わされるべきではないでしょう。