隠すほどの爪なら無い

自分自身の、この自我というものが消滅することへの覚悟はできた。苦しみからの開放・・・。だけど、だけどあと少しだけ、続きが見たい…!

【統合医療】気楽に始める「自力整体」

以前より、慢性的な不調をおかかえの方には「自力整体」(矢上裕先生主催)をオススメしています。

慢性的な不調というのは、もちろん身体的なものも、精神的なものも、すべて含みます。
精神的な不調、というのはつまるところ脳の不調です。つまり「脳」という臓器・体の一部の不調です。突き詰めると、精神的とか身体的といった区分そのものがおかしいのです。

「心の働き」は脳の機能の現れです。「消化」は胃腸の機能の現れです。「声」は喉の機能の現れです。
消化不良の時に、「消化の病気」ではなく「胃の機能異常」と呼ぶのが「標準医療」流のはずです。
でしたら、「精神の病気」ではなく「脳の機能異常」というのが正しいはずで、「精神の病気」という命名そのものが標準医療的なルールから外れています。ちなみに、私の「カイカイ病」とかはそういうへんてこな病名付けに対する皮肉を込めています。

同じ体、一つのものなのですから、分けて扱うことそのものに「標準医療」の限界を生む要因があるのです。
だから、それを「統合」しましょうっていうのが「統合医療」の態度です。

話がそれましたが、病名でいうと「標準医療」ではマンネリで効果のあまりない治療しか受けられないか治療そのものをしてもらえない「パニック障害」「うつ病」「筋緊張性頭痛」「繊維筋痛症」「筋筋膜性疼痛症候群」「四十・五十肩(頚肩腕症候群)」「外傷性頚椎症」「脳脊髄液減少症」、まあ私がある程度断言できるのはこの程度なんですが、自力整体はこれらの疾病に間違いなく効果があります。アレルギー(アトピー性皮膚炎や花粉症)、膠原病とかクローン病にも効果はあると思いますが、私が実例を知らないのであえて断言はしません。基本的にはあらゆる慢性病に効くと思ってよいでしょう。

ちなみに「効果がある立証」はできません。しかし、取り組んだところで別に何か損することはありませんので、騙されたと思って気軽に始めていただきたいものなのです。

今やっている治療をすぐにやめる必要はありません。むしろ、並行して進めてください。
ただ、標準医療の治療に深刻な副作用がある場合、主治医と相談して徐々に薬をやめてください。深刻な副作用は、よく病気の症状と誤解されます。薬をやめることで、症状が改善することが少なからずあります。

そして、自力整体に取り組む際の心構えとして「自力整体をやっているから治るはずだ」などとは思わないでください。

なぜなら、正しく取り組めば「治るはず」ではなく「必ず治る」のです。だから、治らないなら「正しく取り組めていない」のです。間違ったやり方でいくら続けていても、治らないどころか悪化しかねません。「正しく取り組み続ければ」いつかは必ず治るのです。それに気付かず、間違ったやり方で「やっているのに治らない」と思い込むことは危険です。

この「間違ったやり方で治療しているつもりになって(病気そのものではなく)『治らないこと自体』に苦しむ」ということは、標準医療において非常によく見られます。それが症状を悪化させ、間違った治療を促進してしまいかねないと言うのは皮肉な話です。

これが「正しく取り組めていることを確認する手法」が大変重要となるゆえんです。このことについては以前のエントリでも触れましたが、「Oリングテスト」や「入江フィンガーテスト」、「舌トントン」と言ったやり方が「精神科養生のコツ」に満載されています。「自分の体が気持ち良いと感じているか」というテストなので、自分自身で見極める方法が必要です。なにしろ、それは聴診器をあてようが脳波を取ろうがCTスキャンをしようが分からないものだからです。でも「あなた自身」にはわかるものなのです。
同じ目的で「氣の呼吸法」(藤平光一)に「氣のテスト」というやり方が紹介されています。普通に立って、誰かに右胸のあたりをぐっと押してもらう、というものです。これでぐらついたら「氣は出ていない」=「正しい姿勢ではない」と判断します。

さて、自力整体は「ストレッチみたいに体を伸ばしたりいろんなポーズをとることだ」とイメージされる方も多いでしょう。それは大きくは間違っていないのですが、本質的には間違いです。
元来、整体とは「整った体」のことをいいます。整った体は不調にはなりません。そして、体には「脳」も含まれます。したがって、整った体の人は脳も整っています。つまり心も正しく機能しています。

「整体」を維持し続けることが健康の秘訣であり「自力整体」は「整体」を維持するためのものと言えます。

毎日「間違った体の使い方」をしていると、体はだんだん歪んで来て「歪体」(わいたい)になります。
普通は「寝る」ことで体がリセットされ、朝起きると「整体」に戻るようになっています。
ちなみに、正しく「寝る」には、ある程度硬めのベッドまたは布団で寝るのが良いです。柔らかいベッドは寝返りを打てません。寝返りは、無意識のうちに体の歪みを戻す作用ですので、これを阻害する柔らかいベッドはダメなのです。

そして、ある限界を超えて「歪体」が進むと病気となります。基本的に、すべての病気はこのメカニズムで説明がつきます。ちなみにこれは矢上先生ではなく、橋本敬三先生の「躁体法」で読んだ知識ですが、もちろん矢上先生も躁体法の研究はしておられると思います。さらにいうと、橋本敬三先生は本当の医師です。

ひとりでに戻るものが一定限度を超えると病気になる分かりやすい例として、脂肪肝や急性肝炎があげられるでしょう。アルコールを多少摂っても、人は病気にはなりません。しかし、限界を超えると肝臓がオーバーフローして病気になります。

現代人の体は生活習慣の急激な変化によって、歪みやすくなっています。しつこくいいますが、この「体」には「脳」も含みます。

自分で気づいて治せる分には良いのですが、歪みがひどくなると脳の働きにも異常が生じます。
脳の働きに異常が生じると、自分の体の「歪み」に対して鈍感になります。
ですので、意識的に自分の体の働きをチェックし、整体に戻す努力を持続せざるを得ません。

その方法のひとつとして「自力整体」を私はオススメしております。

理由は、(私のように)小難しい理屈を、矢上先生はあまりいいません。「論より証拠、やってみなはれ」がスタンスです。なので取り組みやすいと思います。

また、矢上先生自身がどんどん進歩して言っていると言うのも心強いです。死んでしまっている野口晴哉先生とかでは直接習うわけにはいきませんが、生きておられるのですから直接習うと言う最終手段があります。これは安心です。

あと、むやみに商売に走っておられないのが素晴らしいと思います。いくらでも教祖くらいになれそうなカリスマがあるのに、それをしないストイックさにあこがれます。

とにかく、一度ビデオを見てまねしてみる。それを、我流にアレンジするのです。我流のアレンジを矢上先生はダメと言っていません。また、むしろそれを推奨しているようにも取れます。「痛くしない」「気持ちよさを味わう」はそういうことだと思います。「気持ちよさを味わう」のは、神田橋篠治先生の教えとも共通します。

また、重要なルールとして「おなかのすいているときにやる」「体の内側に注意を向ける」「力を抜く」というものがあります。
おなかのすいているときにやるのは、胃腸の血液が少なくなった分全身の血流が向上しやすいためです。
ちゃんとやると、汗をかくくらい血流が良くなりますので、おなかがいっぱいだと胃が痛くなるうえ効果が下がります。
「体の内側に注意を向ける」というのが、さっき言った「正しく取り組めていることを確認する手法」とほぼ共通です。「自分の体が外側から見てどういう体勢になっているか?」ではなく「自分の体がどう感じているか?」に注意することが非常に重要です。「形を追うな」ということを、矢上先生はしつこく言っておられます。

力を抜いてやる、というのが結構難しいのですが、ポーズをとるのに力を入れないなんてどうしたらいいかわかりますか?そのためのヒントに、自力整体のビデオは最適です。基本は、自分の体重を利用します。
伸ばす部分の筋肉の力は抜き、体重を利用してそこを「伸ばす」「ほぐす」。基準はあくまで「自分が気持ちいいこと」。心地よい気持ちよさ(痛気持ちよさ)を味わうくらいがベストです。

たとえば体育の授業でよくやらされる前屈ですが、ダメです。自分の腰の筋肉で、腰の筋肉を伸ばすのはダメです。だいいち、気持ちよくありません。

腰の筋肉を緩めるには、寝転がった姿勢から足を上げ、それをそのまま頭の上につま先がつくくらいまで持ってくるのが多分ベストです。

前屈では足の筋肉をゆるめることが出来ますが、体育の授業で習うように足を「ピン」と伸ばした状態ではダメです。痛いだけで気持ちよくありません。足の筋肉に力が入っているからです。足をゆるめて、膝が緩く曲がるくらいの状態で軽く前屈してみてください。お尻から太ももの筋肉が伸びる(ゆるむ)ことを感じるはずです。これを「気持ちよさがなくなるまで」続けてください。いつまでも「気持ちいい」のだったら、かなり固まっているのです。こういう場合、毎日しつこく続けるしかありません。

一度にあまり長時間というのもよくありませんし、そもそもあまり長時間すると「気持ちよく」なくなります。

このように、自力整体は「気持ちよさ」を指標にして行うのがベストだと、私は思っています。
どうか、皆さんも気軽に取り組んでみてください。