隠すほどの爪なら無い

自分自身の、この自我というものが消滅することへの覚悟はできた。苦しみからの開放・・・。だけど、だけどあと少しだけ、続きが見たい…!

自然エネルギーの高価買取で何が起こるのか?

太陽電池などの再生可能エネルギーの買い取り価格が決まったようです。

太陽光1キロワット時42円 政府、自然エネ価格決定
政府が7月から始める自然エネルギーの新たな普及制度で、電力会社が自然エネを買い取る価格が25日、決まった。太陽光は1キロワット時あたり42円、出力20キロワット以上の風力は同23.1円など。買い取り期間は10~20年間。価格と期間が決まり、制度を運用する準備が整った。

経済産業省の第三者組織「調達価格等算定委員会」がこの日、案を示し、近く経済産業相が正式に決める。この制度は、自然エネを一定価格で全量、長期間買い取るしくみで、自然エネの導入拡大をめざす。

委員会では、自然エネの発電会社が発電にかかる費用と適正なもうけを得られるように、買い取り価格をはじいた。費用は発電の種類や出力の規模で違うため、太陽光、風力、水力、地熱、バイオマスなどの規模に応じ、価格は14区分に分けることにした。
「アゴラ」とかでは散々議論されている内容なのでいまさらかとは思ったのですが、いまさら感がウリの当ブログですので以下略。

電気代の実勢価格は25円/KWhくらいです。これの1.5倍以上の価格(しかも固定価格)での買い取りを10年間保証するというのです。

一聞すると良いことのように聞こえますが、この買い取り価格は最終的には電力価格に反映されます。なぜなら、送電・発電の分離が結局行われなければ、電力会社を選ぶことが出来ないからです。いま東京電力が「値上げに応じないなら電気を止める」という、まさにヤクザまがいのやり方で、独占的地位を利用して顧客に値上げを強要しようとしているわけですが、それと同じことが全国レベルでおきます。

原発の停止で(電力利権の大幅な構造改革がない限り)電気料金の値上げは免れない情勢ですので、そのドサクサで値上げしてしまえば分からないだろう、という思惑もあるでしょう。

極端な例で言うと、たとえば日本近海で膨大な埋蔵量の油田が2年後に発見されたとします。すると、火力発電コストは大幅に低下するわけですが(ヘタしたら原油バブル崩壊でたくさんの会社がつぶれる)、太陽電池で発電された電気は法律で42円/KWhで買い取らなければならない、と決まっているわけですから、電気代が値下がりしないと言うことになってしまうわけです(油田が見つかったことによる恩恵は、一方的に電力会社が被ると言うことです)。

個人的に見ると、太陽電池を設置することで「国にムシり取られるお金」は若干減るわけですが、太陽電池の設置費用は自分がある程度は負担しなければならないわけですから、結局出費的には微妙なラインになります。

国民総トータルで見ると、負担総額が増えることはおそらく間違いないでしょう。電力利権の構造改革からは、遠ざかる結果となります。むしろ、電力利権が強化される結果となるでしょう。

ソフトバンクの孫社長がメガソーラー建設をうたっていますが、各所で疑問を提示されており、それに対する明確な回答は示されていないように思います。

そこで、私としては「コジェネレーション」「コンバインドサイクル発電」と言うものに期待したくなってくるのですが、残念ながら個人レベルでコジェネレーションを行うには今のところ「エネファーム」「エコウィル」しか選択肢がなく、また、この両方とも電気供給がなければ動作しないと言うカタワな代物です。

震災後1年を過ぎていると言うのに未だ自律運転が出来るオプションすら提供されていない(東京ガスの発表しているバッテリーは、電気の長期間無供給には対応していない)と言うのには、どうしても作為的なものを感じざるを得ません。

まあ、これが個人宅レベルでは節電バイアスとして働き、今後電力消費量は低下していくとは思いますが、結果として経済も低迷すると思いますので、何とも暗鬱たる気持ちにさせられます。