最近、日本の官僚支配の腐敗した政治を憂えて、特に経済学の分野において自由主義が取りざたされることが多くなってきているようです。代表的なのは池田信夫氏や、私が愛読している「日本経済をボロボロにする人々」において論ぜられています。
18世紀にアダム・スミスという賢い人が最初に「経済学」という分野を確立したと言われていますが、その人が「国富論」という本の中で書いたのが次のような楽天的といえる経済原理です。
各人が、自分の利益を最大限に追求することによって、経済全体も「神の見えざる手」によって、最適に導かれる
まあ、こんな感じだったと思います。ものすごく分厚い国富論の内容を1行で書くのもはばかられますが、確か社会の教科書にはこんなことが書いてありました。
当時中学生だった私には「神の見えざる手」というフレーズが気に入ったこともあり、他のことはすっかり忘れましたがこのことは30年くらいたった今でも覚えています。
ものすごく平たく言うと「政府は余計なことはしなくていい」=「小さな政府」でいい、ということなんです。
で、今の日本政府はどこからどう見ても「大きな政府」になっているわけです。がんじがらめの規制、世界一高いといわれる税金、そして国家予算は震災のドサクサもあって100兆円…。100兆円って、人口1億人として一人当たり100万円ですよ。年間100万円。これ全部税金です。年金とか健康保険とか電気代とか水道代とか高速代とかNHK受信料とか、そういう「税金じゃないけど税金みたいなもの」を全部入れるともっと多くなりそうです。
年間100万円相当以上の行政サービスを受けている実感を持っている人なんて、いるでしょうか?生活保護受給者を除いて、そんな人はいないのではないかと思います。
で、極論したら税金なんて要らないんじゃないかという話になります。そして一部の人には困ったことに、これはある一定の意味において真実なわけです。
たとえば、税金が亡くなって消防署が運営できなくなったら、地域の消防団を復活させます。
警察が運営できなくなったら、地域の自衛団みたいなものを結成します。ま、上記の消防団と普通は同じ組織がこれをするんですけどね。
今の時代、ニートとか失業者がいっぱいいるのだから、わざわざ税金でそういう組織を作る必要なんてない気はします。
そうなると公務員の大半が失業してしまって大変なことになる気もしますが。
あえて税金で運用する必要があるとすれば、軍隊。こればかりは民間レベルでは代用できません。そして軍隊の維持に必要な科学技術開発。最低限、これで事足りてしまうわけです。
ま、実際にはそんなことにはならないわけで。
で、私の疑問は「自由主義が正しく『神の見えざる手』が存在するなら、現在の腐敗した状態すら『神の見えざる手』によって導かれたものなのではないのか?」ということなんです。
つまり、官僚や政治家にしても「自由に」「自分の利益を最大にする」という目的のもとに行動した結果現在の状態が導かれているのではないのか、と思うのです。
これは、アダム・スミスの敗北なのでしょうか?
あるいは、ソ連型共産主義と同じように、この日本型官僚主義は、いずれは崩壊するのでしょうか?
中国共産党のように変化していくのでしょうか?
いずれにせよ、いつまでもお花畑でいられないことは事実のように、最近感じています。