有名な夏目漱石の小説「草枕」の冒頭の一文です。
この冒頭文を読んで「ああ、そうだなー。この世って住みにくいよな」と共感した人は少なくないでしょう。
実はこの小説には続きがあります。
住みにくさが高じると、安い所へ引き越したくなる。どこへ越しても住みにくいと悟った時、詩が生れて、画が出来る。
人の世を作ったものは神でもなければ鬼でもない。やはり向う三軒両隣りにちらちらするただの人である。ただの人が作った人の世が住みにくいからとて、越す国はあるまい。あれば人でなしの国へ行くばかりだ。人でなしの国は人の世よりもなお住みにくかろう。
「草枕」は青空文庫でタダで読めますので、興味のある方はどうぞ。人の世を作ったものは神でもなければ鬼でもない。やはり向う三軒両隣りにちらちらするただの人である。ただの人が作った人の世が住みにくいからとて、越す国はあるまい。あれば人でなしの国へ行くばかりだ。人でなしの国は人の世よりもなお住みにくかろう。
「どこへ越しても住みにくいと悟った時、詩が生れて、画ができる。」
住みにくいからこそ芸術作品が生まれるというわけです(芸術作品がたくさんある国は、住みやすき国だろうと私は思います)。そして
「ただの人が作った人の世が住みにくいからとて、越す国はあるまい。」
「人でなしの国は人の世よりもなお住みにくかろう」
としめます。
やはり夏目漱石は天才だよなと思います。
この世はそういう因果で成立していると言うことを端的にあらわした名文ですね。
つまりは、智に働いて角を立てたり情に棹させて流されたりして生きていくのが、人生ってことでしょう。
このテーマは「隠すほどの爪なら無い」と、かなりかぶってますね。