最近話題の「新型うつ」。
いや、最近じゃないよ?という方もいらっしゃるかもしれませんが、まあとりあえず最近ということにしておきます。
仕事に行く段になると「うつ」になるけど、遊びとかは普通にできる。
なんだその都合のいい病気は、詐病だとか甘えじゃないのかと言う意見も多いようです。
皆さんはどう思いますか?
10年以上前から心療内科にかかっている身から見ると、最近の精神疾患は同じような事の繰り返しです。
最近というのはここ20~30年のことを言っているのですが、実は今となってはほぼ認知されたと言ってもいい「うつ病」という病気も、最初はそのように叩かれていたからです。
詐病だとか甘えだとかいわれてです。
もちろん、うつ病に限りません。統合失調症や双極性障害、境界性人格障害など、あらゆる精神疾患に対する世の理解はあまり芳しいとは言えません。(これらはちゃんと全部医学書に載っている病名です)。
人は、自分の体験したものしか理解できない生きものだからです。
では、私は「新型うつ」を肯定する立場なのか、というとちょっと違います。
端的に言いますと、「うつ病」や「新型うつ」は、「病気」と言うのとはちょっと違うと私は思っています。
これは、生物学的用語で言うところの「適応」ではないかと私は思っています。
うつ病というのはそもそも、「うつ状態」が重く長く続く病気とされています。
うつ状態というのは気分が激しく落ち込んで何もする気が起きない状態の事を云います。
でも、誰でも「気分が落ち込んで何もする気が起きない」という状態を経験したことがあるのではないのでしょうか?
それは、軽い「うつ状態」なんです。普通に、日常用語で「鬱だ・・・」とか言いますが、その延長線上にうつ病というのがあります。
決して、かけ離れたものではありません。
そしてなんで「うつ状態」が発生するかというと「何もしないでいた方が良いと体が判断しているから」となります。
誰でも風邪をひくと軽いうつ状態になります。それはじっとしていると風邪が早く治るからです。
うつ病や新型うつも、それと同じです。原因は人それぞれなのだと思いますが、多分「何もしないでいる方がヒトという生物上都合が良い状態だから」なのです。
うつ病が、「体が(自己防衛のため)うつ状態を作り出しているサイクル」が暴走(悪循環)して通常ではありえないほどのうつ状態が長期間続くものだとするならば、新型うつはもっと分かりやすく「その仕事をすることがヒトと言う生物上あまり都合がよくない」という体からのサインだと思います。
要するに、その仕事は気持ち良くないのです(気持ち良いと言うのは「楽」というのとは少し違います)。
気持ち良くない理由はそれこそ人それぞれでしょうけど、最近の努力しても報われない感、若者が年寄りに比べて割を食っている感の蔓延から見て、そういう疾患が顕在化しても不思議ではない社会環境ではないかと思います。
病名として認定され、何らかの社会福祉を受けられるようにすることがある意味、そういう不公平な社会構造を是正するバイアスとして働くのであれば、「新型うつ」が新たな病気として受け入れられると言う事は、必要悪として認められてもいいのではないかと私は思います。