隠すほどの爪なら無い

自分自身の、この自我というものが消滅することへの覚悟はできた。苦しみからの開放・・・。だけど、だけどあと少しだけ、続きが見たい…!

【統合医療】医療自由主義

経済学には自由主義という考え方があります。

「小さな政府」とほぼ同じ意味と思っていいのですが、すべての人が自主的に自分の経済的利益を最大にするように行動すれば、結果的に全体的にもっとも経済的利益が高くなりすべての人が幸せになる(最大多数の最大幸福=功利主義)が実現される、という考え方です。

つまり、政府が余計な事をしなければみんながハッピーになれると言う実に楽天的な考え方です。

もっとも、現実の体制としては、この「小さな政府」志向とは正反対の方向性で国家が運営されています。これが不幸の元だと言うわけです。こういう思想の人をリベラル派というそうです(最近知ったので正確には嘘かもしれん)。だいぶつはハッキリリベラル派です。

少し乱暴ですが、私は医療にも同じことが言えるのではないかと最近思っています。それを医療自由主義などと命名したわけです。

医療自由主義になるとどうなるのか、インドのように、日本で「民間医療(代替医療)」と呼ばれている医療行為と「標準医療」と呼ばれている医療行為がまったく対等になります。インドでは、民間医療であるアーユルヴェーダの病院と、西洋医療を行う病院が別々に存在し、その地位は同等です。

各人が、自分の人生を最適化するために自由に自分の思う医療を選べるようにすることが、最終的には全人民の平均寿命やQoLを向上させると言うことです。

日本で何が起きているかと言いますと、まず元凶は「国民皆保険制度」です。私は、まえからこのような事を書いているので、以前、東南アジアで医療関係のNPO活動をしておられる方から日本の国民皆保険制度はとても素晴らしい制度であると、お叱りを受けたことがあります。

私自身も日本の医療保険制度に恩恵を受けている以上、文句を言うのも筋違いかもしれません。まあ、原発反対派の人によるとこのように考えるのは「ストックホルム症候群」という病気なのだそうです。彼らは、恩恵を受けたからと言ってそれに対して批判をしてはいけないと言う事にはならないと言います。だから、夏場に原発で発電した電気でクーラーをガンガンに効かせながら大きな顔をして原発反対をうたえるというわけです。

という事でこれは、私も厚顔無恥に彼らの真似をして、現在の医療保険制度の批判をしてしまおうと言うひとつの試みです。

標準医療と民間医療(代替医療)を分かつものは何か、というとそれは論文が査読されたことでもなく、EBMで評価されていることでもなく、メタアナリシスで効果があると言われたことでもなく、単純に、厚生労働省がそれを医療と認めたら標準医療なのです。

逆に言えば、論文が査読されてなかろうが、EBM上意味がなかろうが、メタアナリシスで効果が否定されようが、厚生労働省がそれを医療と認めればそれは標準医療です。

それで、なぜ厚生労働省がそれを医療か医療でないか判定しないといけないかというと、厚生労働省が医療と認めたもの(標準医療)には国からお金(健康保険)が支払われからです。実に単純な話ですね。

アメリカの厚労省にあたるFDAでも、過去に製薬会社との汚職事件が取りざたされたことがありますし、日本でもミドリ十字事件とかは記憶に新しいと思いますが、このように規制が生じるところには必ず利権が生じ、汚職を生みます。

汚職で議員や官僚や悪徳業者が儲かるくらいなら大局的な問題はないのですが、医療の場合それは人間の生死に直結してしまいます。なので、経産省や財務省の汚職に比べて厚労省の汚職は悲惨な結果を招きます。

このような事態を防ぐためには結局厚労省の権限を小さくするしかない。と、私は思っています。

逆に、ことさらに「標準医療」と「代替医療」を区分したり、代替医療のエキセントリックな結果だけを取り上げて代替医療への不信感をあおったりする言説、たとえば「スティーブ・ジョブズはすい臓がんの治療のために代替医療を選択したことを後悔していた」やら「吉村医院新生児死亡事故の様な悲惨な事を味わいたくないなら『まともな』病院にかかるがよい」やら、そういうのは結局のところ既得権にくみする情報でありバイアスに過ぎないと私は思います。

皆が納得のいく医療を受け納得のいく人生を全うすることが理想であることに疑いの余地はないと思います。

ジョブズは代替医療に殺されたのではなく標準医療でもほぼ打つ手がなく最終的に代替医療にすがったのだろうし、吉村医院新生児死亡事故は医者も妊婦も納得づくでその方法を選択してそういう結果に至ったに過ぎないわけです。

自由に自分自身の生きる権利を侵害されたくはありません。

そして、無自覚な善意なのか意図的な謀略なのかは分かりませんが、その辺に対して無神経な言説を垂れ流す医療関係者には正直辟易としてしまいます。もっとも、そういう医療関係者が蔓延る現実はつまり日本という国の病理を表しているのかもしれませんね。