隠すほどの爪なら無い

自分自身の、この自我というものが消滅することへの覚悟はできた。苦しみからの開放・・・。だけど、だけどあと少しだけ、続きが見たい…!

正社員とは「雇用期間の定められていない従業員」のことです

トピック「正社員」について

言葉の定義があいまいなまま議論がされていて、少し発散気味です。

この話、元ネタは竹中平蔵氏の「全員正社員を目指したのが間違いだった」「正社員を無くすべきだ」という発言に端を発していると思います。この説に対し、私はもろ手を挙げてというわけではないですが、総論賛成です。

ここで言う正社員と言うのは末端社員のことと勘違いしている人が多いのですが、「全正社員」のことです。正社員と言うのは、期間を定めずに雇用されている従業員の事を指します。

まず理解しないといけないのは、正社員と言うのは雇用の期間が定められていないと言うだけで別に解雇してはいけないと言う決まりはないと言うことです。

ではなぜ正社員は既得権云々と言われるのかと言うと、過去に「雇用期間が定められていない従業員を解雇したら企業側にペナルティが課せられた」という判例があるためです。

また、この「雇用期間が定められていない従業員」=「正社員」であっても、雇用期間が短い人のほうが企業のペナルティは少ないと言う傾向にあります。つまり、司法や行政が長期間勤務者を優遇し、短期間勤務者を冷遇しているのが現状なのです。

正社員であっても、3年以内であれば解雇に対するペナルティは大したことがありません。また、若造であれば労働審判に及ぶ恐れも少ないので、最初から3年しか雇わないつもりで正社員を雇う悪徳経営者もいるくらいです。

さらに、企業体力の問題もあって大きな企業ほどこのペナルティを課せられる傾向が高いのです。つまり

1)大きな企業の長期間勤務者

2)大きな企業の短期間勤務者

3)小さな企業の長期間勤務者

4)小さな企業の短期間勤務者

の順番で、保護される度合いが弱まっていきます。

このため、零細企業などでは平気で正社員を雇います。クビにしてもペナルティがほとんどないから、派遣会社に中抜きされる派遣社員よりトクだからです。

これは、大いなる不公平であって、本来仕事の内容で判断されるべきものが、勤務期間の長短や、会社の大小によって保護されたりされなかったりすることが、司法や行政によって是認されていると言う現状があるわけですよ。

この状況を打破するには、文字通り「制度上正社員を無くす」というのが過激ではありますが妥当な方策ではないでしょうか。

これは、正社員の定義から考えると「全ての雇用を最長3年の有期雇用とする」と言うことを意味します。今のルールで行くと、派遣社員を3年雇うと社員にしなければならないわけですが、多くの場合正社員ではなく契約社員となります。

そして、勘違いしている人が多いのですが管理職も正社員です。執行役員も正社員です。取締役になって初めて、会社との雇用契約を辞めるのです。なので、サラリーマンとして働いている人のほとんどが、部長であれ、本部長であれ、正社員です。

そして、この「全ての雇用を3年限定にする」というのが最も威力を発揮するのが、マネージャークラスの人事なのですよね。会社に休まず滅私奉公さえしていれば、アホでもなれるのが日本の典型的サラリーマン管理職なのですが、ここに実力主義が持ち込まれることになります。3年間で成果を出せないマネージャーは、契約打ち切りです。

どうも、竹中平蔵氏を嫌いな人がたくさんいて、そして(意図的かどうかは分からないのですが)ミスリードしているようなのですが、「全員非正規社員」でもっとも戦慄するべきは安月給の新人サラリーマンではなく、マネージャークラスの人たちなんですよ。現在の地位にあぐらをかいて、終身雇用に守られたまま定年を迎え、莫大な企業年金をもらいたい人たちにとってこそ脅威の提案なのです。

若い人はポテンシャルが在るわけですから、3年で契約を切られてもよそに行けばよろしい。給料が安くてもいいなら、いくらでも雇い手はいるわけです。ところがマネージャークラスで年棒1,000万円となるとそうは行かない。そうそう雇い手はいないから、現在の職場で必死に成果を上げて契約延長してもらうか、年棒を下げて違う職場に雇ってもらうしかなくなってしまうのです。

竹中平蔵氏のこの辺の考え方はとても自由主義的で、リベラリストの私としては大枠支持します。