隠すほどの爪なら無い

自分自身の、この自我というものが消滅することへの覚悟はできた。苦しみからの開放・・・。だけど、だけどあと少しだけ、続きが見たい…!

【統合医療】良薬は口に苦くない

先のエントリで「良薬は口に苦くない」的な趣旨のことを書きました。
そしたら「口に苦いが効く薬はあるのだ!」という生真面目な回答が入っていてたいへん微笑ましかったので、ここでこの言葉の意をあえてエントリを設けて書くことにします。

実はそんなに難しいことではなく、皆さんも実際に体験しておられることと思うのですが、一番分かりやすい例でいうと「空腹は最良のソースである」(って欧米か!)ということをみなさんご存知と思います。

平たく言うと、体のコンディションで味は変わります。
痛みとかその他のすべての感覚にしても同じです。不意に食らったパンチと分かっていて食らったパンチでは、同じ強さでも痛みが違います。
要は、感覚というのは主観的に感じるものなので、計測が大変難しいのです。
また、個人間での比較も原理的に不可能です。

まったく同じ薬をなめても、とても苦く感じるときと、あまり苦く感じない時があります。
とても苦く感じる薬は(その時の)体に合っていないので飲まない方がよいのです。
おなかがいっぱいのときにご飯を食べたくないのと、まったく同じです。
重層の例が出たので書きますが、要はパンシロンとか太田胃酸の主成分なわけです。確かに苦いです。でも胸やけしているときは舌の上に載せても不快感は感じません。むしろスッとするような気持ちよさを感じます。

マッサージの「痛気持ちいい」というのも、多くの方が体験しておられるかと思います。
「痛いけど気持ちいい」。矛盾しているようですがその通りなのです。そう感じるしそうとしか表現できません。

苦いけど苦くない。まあそういう表現が妥当なのかどうかわかりませんが、体に完全にあっている漢方は「甘く感じる」と言います。これも、私は体験したことがありますが実際に甘く感じます。苦いのですけど。

ちなみに、漢方薬(エキス製剤)の正しい飲み方は熱めのお湯に溶かして飲むことです。
「煎じて飲む」のが本来の漢方なのですが、エキス製剤はそのエキスを抽出して粉末化したものなので、お湯に溶かして飲むのが正解です。その時、できるだけ大量のお湯でそれを一気に飲みます。
「飲む過程」が漢方の効果を確実に高めます。

本来、漢方医療では五診という診察過程ののち漢方を煎じてくれて飲まされる、というのが正しいやり方です。茶道とかと近いかもしれません。

残念ながら、こういう指導をしてくれる標準医療の医師に会ったことはありません。漢方を標榜している医師でも、五診すべてをやってくれる人に会ったことはありませんし、煎じて飲まされたこともありません(保険外になるのでとても高価になる)。伝聞ですが、ハマる人にはむちゃくちゃ効くそうです。

漢方のエキス製剤を「ただの物質」ととらえ、水などで流しこみ、その結果効果がないからと、漢方は無意味だと喧伝している医師もいます。

話がそれましたが、漢方を溶かして飲むと味が分かりますし、自分に合っているかどうかも分かりやすくなるし、効果も高まるのでお勧めです。葛根湯なんかは手軽に入手できますし、飲んで体に悪いものでもないので、一度試してみてください。
個人的には、日本の漢方エキス製剤は「薄い」と思います。2回分一気に飲んでちょうどよいくらいでしょうか?台湾とかではかなり濃いのが手に入るようです。

「苦いか苦くないか」は人間の主観でしかわからない事です。
一度、苦いピーマンを食べた人はピーマン嫌いになってしまいます。
漢方等でも、最初に苦いと感じた人は漢方嫌いになってしまうおそれがあります。
それで、あえて(ウソだけど)「良薬は口に苦し」みたいな言葉を編み出したのだと思います。

でも、本当は「良薬は口に苦くない」のです。それだけの話です。
自分の体のためになって役立つ物質を、口が「苦い」と判定することはないからです。
とても美味しいゴーヤチャンブルを食べたときのことを思い出してみてください。苦いけどおいしかったと思います。
それと同じこと、それだけの話です。

残念なのは、個々人がそういう「自分の体に本当に必要なもの」を判定する能力を持っているのに、それを活用しきれずにいる人が増え続けている昨今。また、それに付け込んでか、怪しい薬を売りつけようとする死の商人の台頭。

どうか、怪しい死の商人に騙されず、自分の内的感覚を磨くよう努力しましょう。