隠すほどの爪なら無い

自分自身の、この自我というものが消滅することへの覚悟はできた。苦しみからの開放・・・。だけど、だけどあと少しだけ、続きが見たい…!

精神障害者保健福祉手帳2級を目指す

現在、精神障害者保健福祉手帳3級を保持しています。

長いので以下では「手帳3級」といいますが、よく混同されるのが障害年金3級と手帳3級です。実は、これらは別々の制度で障害年金日本年金機構(旧社会保険庁)が、手帳は都道府県が運営しています。

全く関係がないわけではないのですが、運営母体が違うため、それぞれ別々に申請しなければもらえません。障害状態になったからと言って自動的にもらえるわけではなく、わざわざ手帳であれば都道府県、年金であれば日本年金機構に申請しなければもらえないことになっています。年金の場合受給権も「申請してはじめて発生する」ものなので、たとえ老齢年金でも65歳になったら自動的にもらえるわけではなく、申請しなければなりません(そして、恐ろしく面倒です)。

今回は「手帳」の話です。手帳には手帳1級、手帳2級、手帳3級の3段階があり、数字が小さいほど重い障害状態を表します。私は現在、一番障害状態が軽い3級を保持しています。

他にも身体障害者に付与される身体障害者手帳知的障害者に付与される療育手帳があり、合計3種類の手帳があります。3等級なのは精神障害者保健福祉手帳だけの話であり、身体障害者手帳療育手帳にはもっと階級があり、しかも都道府県によって異なったりします。精神障害者保健福祉手帳だけは、全国統一で3等級になっています(しかし、こののちどこかの都道府県が気まぐれで3級を廃止したりと言ったことが皆無とはいえません)。

そして、3種の手帳のうち精神障害者保健福祉手帳だけは差別されており、飛行機やJRの割引が受けられません。障害者手帳と言うと真っ先にJR半額と思う人もいると思うのですが、精神障害者保健福祉手帳だけは例外です。一昨年くらいから、この格差を是正する動きが出てきて、一部の交通機関でそれまで差別されていた精神障害者保健福祉手帳も同じく割引を受けられるようになってきていますが、相変わらず適用範囲は極めて狭いです。

最大のメリットは27万円の障害者控除を受けられること。年収にもよりますが、例えば年収500万円だと年2万円ほどの節税になります(地方税も下がるのでトータルではもうちょっと税負担が下がりますし、社会保険も若干安くなります)。

しかし、それ以外のメリットは乏しいです。住んでいる自治体によっては地下鉄無料とか半額といったなかなか使いでのいいメリットがあったりするのですが、田舎の自治体の場合そういうのもあまりありません。あまりにメリットがないので、手帳3級は取らない人も多いと聞きます。障害者呼ばわりされて差別される割にはメリットがなさすぎるということです。

しかし、私はメリットはないことはないと思っています。市営駐車場2時間無料とか地味なメリットを最大限活用しつつ、節税メリットも享受します。そして、最大のメリットは失業したときに発揮されます。障害者として求職する場合、ハロワのあのクソ長い行列に並ぶこともなく、2階の別室で個別対応を受けることができます。障害者の雇用には企業にメリットがあるので(有り体に言うと、1年分の給料はハロワが払ってくれるので、障害者は実質タダで雇えるのです)割とすぐ見つかります。まあ、私は経験したことありませんけど、そういうものらしいです。

企業が雇いやすいのは、また別のメリットに秘密があります。普通の人は、失業保険は一度給付を受けると、またまとまった期間(5年とか)働かないと給付期間が回復しませんが、なんと障害者は半年働けば360日の給付が復活します!(自己都合の場合3ヶ月の待機期間はある)なので、障害者は半年雇ってもらえたら、クビになってもまた1年失業保険がもらえるのです。自己都合退職でも待機期間はあるものの、受給期間が短くなったりしません(健常者の場合、自己都合だと期間が短縮される)。

大企業が責任をもって雇ってくれるならあまり役立つことのないメリットなのですが、私は新卒で入社した会社(責任をもって雇ってくれそうな会社)を辞めて、ブラック企業に転職してしまったので、自己防衛のためこの手帳を入手しました。

もう一つのメリットが障害年金です。前述のとおり、障害年金と手帳は別制度であり、直接の関係はないことになっています。しかし、実際には年金3級を持っている人には半自動で手帳3級が付与されることになっています。そして、障害年金を申請する書類には当然のように手帳の等級を記載する欄があり、もちろん手帳のコピーも提出させられます。

年金機構の内部を見たわけではないですが、手帳のコピーが付いていなければ当然審査にもいい影響を与えないだろうと私は思っております。まあ、心理的な水際作戦である可能性もありますが。

そこで、私が推奨するのは手帳3級→年金3級→手帳2級→年金2級というキャリアパスです。診断書(5000円〜7000円もする)の枚数や時間が余分に必要になりますが、ここでサンクコストを負えないような人には年金受給はおぼつきません。もちろん、もらえないかもしれませんが、パチンコですったと思えば安いカネです。もらえたらめっけもん、私はこれらの先行投資はことごとく取り返せて一安心でいま攻勢に出ようとしているところなわけです。

私はどういうわけかサラリーマンとして給料はもらっていますが平日の昼間にある程度自由に動けてしまうという身の上ですので、これらの手続きは全部自分でやりました。恐ろしく面倒くさかったですが、やったかいはありました。

手帳2級は、家で過ごすくらいなら平気だけど外に出るのはちょっとキツイ・・・、と言った基準になります。私の現在の病名「双極性障害一型」であれば、基本的にはこの水準を軽くクリアするはずです。最初の手帳申請時には医師が手加減して「うつ状態」という軽い症状で診断書を書いたため、3級にとどまってしまいました。まあでも、これはこれでよかったかなと思っています。まだその頃は年収800万円弱もらっていましたからね・・・。

そして、今は年収も順調に下がってきたので2級は十分狙えると思います。前職で「パワハラの末 解雇まがいに退職させられた」というエピソードは、かなり役に立ちます。

同じような境遇の皆さん、開き直りましょう。人間、誰しも頑張れるときと頑張れない時があるように、頑張れる人と頑張れない人がいます。頑張れない人は、頑張れる人に助けてもらっていいんです。それが、人権というものなのです。

頑張れるのに頑張らない人ではなく、頑張れない人は、頑張れる人に守ってもらって当然なのです。