日本人の平均寿命は78歳くらいという話がよく流布しています。
それで、「あなたが今40歳だとしたら、平均的に見てあと38年が残された寿命です」というような書き出しで始まる人生論のような話があります。
私も40歳になったとき、「人生折り返し地点だな」と感慨深く思ったことがあります。
しかし、この話は実は統計学的に見ておかしなことを言っていますので注意が必要です。
平均寿命というのは、産まれてきたすべての人が、何歳で死んだかを調べ、平均を取って算出します。
これとは別に「平均余命」というのがあって、たとえば10歳の人が、それから何年後に死ぬかというのを統計したものが「10歳の平均余命」です。勘の良い人はすでにお気づきのように、「平均寿命」=「今産まれたばかりの、ゼロ歳児の平均余命」です。
なので、40歳のあなたにゼロ歳児の平均余命から40を引いて、平均余命を算出するのは統計学的におかしい計算です。
実際には、40歳の平均余命は40年以上あります。
60歳になると、平均余命が30年くらいあります。
これは、産まれつき体が弱い人は短命でなくなるなどして、全体の(ゼロ歳児の)平均余命を押し下げているためです。
逆に言うと、40歳まで生きた「しぶとい」人は、あと40年以上くらい生きるわけです。
まあ、あくまで統計的に、ではありますが。
寿命というのは、そう安易に切ったり張ったりできるものではないと言うことですね。