NHKに限らないんですけど、身に覚えのない請求で支払い督促を受けたらひとまず「督促異議申立」をします。これは基本中の基本です。
そもそも、裁判所から送られてくる書類の中に「督促異議申立書」というのが入っているはずなんで(私は受けたことが無いので見たこともない)、それに住所・氏名を記入して捺印し、「異議を申し立てます」と言ったところにチェックして裁判所に送ればよいだけです。
カンチンプイです。
そもそも、支払い督促はロクな証拠調べもせずカンチンプイに請求できてしまう債権者にとても都合のよい制度ですから、異議を申し立てるのもカンチンプイにできるようになっています。
その後、正式裁判に移行しますが、当然裁判費用は相手持ちですので、債権額によってはそのまま裁判が行われないこともあります。
なので、督促異議は申し立てないと損です。もちろん、身に覚えのある借金の場合はおとなしく払った方がよいですが、債権額や利率に争いがある場合などであってもまず異議を申し立てないと意見を述べる場すら与えられずに終わってしまいます。
こんなことを書いたのは、最近、NHKから支払い督促を受けたと言う人からメールで相談があったので、ひとまず督促異議の申し立てをするようにアドバイスしたのですが、よく見たら、その方の相談メールが異議申し立て期限の前日に送られていて、そのメールが迷惑メールに入ってしまったこともあって、気付いたのがその5日後でした。
気付いてすぐに返信を入れたのですがよく考えたら既に手遅れです。異議申し立ての期限が切れたら債務が確定することになっていて、強制執行(差し押さえ)もできる状態になってしまっています。
裁判所からの書類には、上記のようなことがちゃんと書いてあるはずで、よく読めば分かるはずなんですが、その人は「異議を申し立てようかどうか悩んでいる」と書いていました。1枚ピラを送るだけの異議申立ごとき躊躇する理由が謎なんですが、
・(2週間以内に)異議を申し立てない=債権者(NHK)の言い分を100%認める
と、裁判所が判断するという事をよく理解しておられないのでしょう。
その方は「あわよくば受信料を取り返したい」とすら書いていました。つまり、NHKに債務があるどころかNHKに対して債権を有していると主張しているわけですから、督促をもらった次の日くらいに督促異議の申し立てをして、逆に小額訴訟を起こすくらいでないと不自然です。
まあ、こういった日本人の法的無知、ないし「ことを荒立てたくない性向」を巧みに利用してNHKが「法的手段による回収に成功」=「裁判所がNHKの言い分を認めた」という数を頑張って稼いでいるんだなということがよく分かる一件でした。