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隠すほどの爪なら無い

自分自身の、この自我というものが消滅することへの覚悟はできた。苦しみからの開放・・・。だけど、だけどあと少しだけ、続きが見たい…!

オペレーションズリサーチとビッグデータ

私は大学で「オペレーションズ・リサーチ」という科目を履修したことがあります。簡単に言うと「数学的に経営しましょ!」と言う話です。

数学と言うのは論理的に決して間違えない学問ですので、正しくインプットしてやれば正しいアウトプットが出てきます。
たとえばシンプレックス法と言う方法を使えば、あなたが中学時代に頭をウンウンうならせて泣きながら解いていた連立方程式と言うやつがありますよね?あれをコンピューターを使ってものの0.1秒もかからずに解けちゃうわけです。変数が100個になろうが1000個になろうが、同じアルゴリズムで連立方程式は解けると証明されています。

簡単に「最適な経営方針が分かるよ!」っていうのがこの学問の触れ込みでした。

いつ、どれだけ仕入れればいいのか。どこに売りに行けばいいのか。何人の社員をいくらの賃金で雇えばいいのか。全部数学で答えが出るのです。経営がとっても楽チンになることでしょう。

・・・が、このオペレーションズ・リサーチと言う学問はものの見事に失敗しました。
実際、「オペレーションズ・リサーチ履修者を経営戦略スタッフとして募集」なんていう募集広告は見たことがありません。

もちろん、オペレーションズ・リサーチの道具立てとして使用される数学的手法(上記で挙げたシンプレックス法など)は完全無欠であり、決して間違いを犯しません。しかし、たとえば「x, y」のxに従業員の人数を入れ、yに従業員の給料を入れるのか、xに仕入れの量を入れ、yに小売店の数を入れるのか、「どの変数にどのパラメーターを与えるのか」に対して、解を与える方法が無かったのです(これを同学問では「モデル化」と言います)。

モデル化がうまくいかないと答えも間違ったものになる。どのようなモデル化を施すのが最適なのかは、結局鉛筆なめなめとか職人芸の世界になってくるわけで、結局のところオペレーションズ・リサーチと言う学問ではなく数学的道具立てが一部的に成功はしたものの、その試みは見事に失敗しました。

・・・かに思われていました。

長らく「オペレーションズ・リサーチ」は「失敗した学問」のレッテルを貼られていたので、その名をあえて前面に出すことはなかったものの、実は形を変えて脈々とその研究は続いていたのです。

大統領選でニューヨークタイムズのネイト・シルバーの数理モデル予測が全50州で的中―政治専門家はもはや不要?
このネイト・シルバー先生は数学者であり、明確には名乗っていませんがオペレーションズ・リサーチの研究をされている方だと思います。

その究極目標は、多分「電子政府の実現」なのだと思います(だから大統領選の予想にこだわるのだろう)。つまり、究極のオペレーションズ・リサーチです。
なぜ失敗した学問であるオペレーションズ・リサーチが今蘇るのか?そこには「データベース」から「ビッグデータ」というパラダイムシフトが背景にあります。

端的に言うと、コンピューターが扱える情報量が十分にまで高まれば、データーの集積はそのまま実用的な結果精度の向上につながります。身も蓋もない話なのですが、量的変化が質的変化をもたらしたのです。

水をちょっとずつ冷やしていきます。すると、あるとき突然氷になります。連続的な「冷却」つまり量的変化を与えた結果、あるとき突然「液体から固体」という質的な変化を生じるのです。

ビッグデータと言うのは、そういうことではないかなと最近は思っています。

あー、やっぱり数学ちゃんと勉強しておくんだったなぁ・・・。