太陽光発電はトクなのか?ということなんですが、実は太陽光発電は今は「つけないと損」と言うくらいの状況です。
なんでかと言いますと、売電価格が1kWhあたり42円と、購入価格の1kWhあたり約20円に比べ、倍以上高いからです。
これは、一時期の米の専売価格と同じです。市場で10kg 1000円の米を国が10kg 2000円で買い取ったりしていましたよね?
そして、ついでにいますと「オール電化」はそれほどトクになりません。一番トクなのは「ダブル発電」です。
ガスで発電し、太陽光でも発電する。これが一番「おトク」です。
今なら、ガス発電+太陽光を導入しても、補助金もあってかなり安く導入できるうえ、月々のランニングコストがほとんどゼロかプラスになります。
ただ、これがエコロジー&エコノミーかと言えば、違います。これは、誰もが知っている「お湯は冷める」と言う原理によります。
いったんお湯を沸かしてタンク内に貯湯するエネファームやエコウィルでは(ついでにエコキュートも)どうしても「タンク内のお湯が冷める」という問題を解決することができません。
もちろん相応の断熱仕様にはなっているのでしょうが、「まったく冷めない」と言う事はありえません。これは物理学では「熱力学第2法則」として大変有名です。ちなみに熱力学第1法則はもっと有名な「エネルギー保存則」です。
しょうもないインネンと思われるかもしれませんが、これはバカにできないんですね。だって、エネファームのエネルギー利用効率は普通の給湯器エコジョーズ以下なんですから。
もちろんエコジョーズには電気は作れませんが、効率よくお湯を沸かすと言うことに関しては現時点ではエコジョーズに勝るものがありません。と言うのは、エコジョーズでは「沸かした湯をすぐ使う」ので、「お湯が冷める」という問題をほとんど無視できるからです。
なにせ、エコジョーズの熱利用効率は95%以上と言われています。もはや神レベルの熱利用効率なので、どんなに頑張ってもエコウィルが勝つことはできません。
エコウィルでは「電気を作った熱でお湯を沸かせてトク」と言うことになってるんですが、熱力学第1法則に従って同じ燃料から100%以上のエネルギーを取り出すことはできません。しかも、沸かしたお湯はタンクにいったん貯めるので冷めますし、電気も発生した直流電気を家庭用交流電源に変更しないといけませんので、ロスが発生します。
直流で発電した電気を交流に直してパソコンのACアダプタがまた直流に直したりとか、宇宙人が見たら何やってんの?的なことになっていますので効率がいいはずがありません。
多分、エコジョーズでお湯を沸かしたときについでに電気を作ってバッテリーにためる方が筋がいいはずなんですが、歪んだ電力行政が正常な技術進歩を妨げているのが現状です。
原発+エコキュートに至っては、原発で発生するエネルギーの90%はお湯になって海に捨てられます。残りの10%が長い長い送電線で送電ロスを伴って家庭に到着するころには数%にまで減っています。それで夜間にお湯を沸かしてタンクにためて朝までに大分冷めて熱がまた失われて、あなたがシャワーを浴びるころにはヘタしたら1%を切っているかもしれません。ま、核反応なんで、化学反応に比べれば熱は無尽蔵に近く発生していると言えるなくはないのですが、それに対するリスクがリターンに比べてもかなり厳しいことはみなさんよくご承知の通りです。
言ってしまえば、お風呂の湯を冷めないうちに洗濯に使う方が、エコキュートやエネファームより100倍くらい気のきいたエコロジー&エコノミーってわけです。
なので、エネルギー収支的にはおトクとは言い難いのです。
とはいえ、お金が惜しい人には太陽光発電がオススメです。もっとも、そのお金は「太陽光発電をつけていない人の払った電気代」なんですけどね・・・。