隠すほどの爪なら無い

自分自身の、この自我というものが消滅することへの覚悟はできた。苦しみからの開放・・・。だけど、だけどあと少しだけ、続きが見たい…!

【統合医療】吉村医院新生児死亡事故を医者が叩くワケ

以前取り上げたテーマですが、若干結論がうやむや気味だったので再度取り上げます。
(年末年始にかけて「新ブラよろ」を読破したため触発されたと言う説もあるが)。

一言で言うなら、これはもう叩きやすいレトリックだからという以外にはないと思っています。

自然分娩にこだわることが悪いはずはないと思いますが、これに対しNATROM氏はこう反論します。

「乳児の頭が骨盤のトンネルよりでかいんだから通るわけないだろ、素人はだあっとれボケ!」

いろいろ分かりにくい単語を使っていたような気はしますが、要約すると上記のようになります。
(内科のNATROM氏も産科に関しては素人な気はしますが・・・)

しかし、医師であるNATROM氏は動的な筋肉骨格理論(一般にスポーツ医学と言われているような類のもの)を学んでおられません。医学部の課程ではそれを教えないからです。

金属製のボールを直径のより小さい金属製のワッカに通すことは、まず不可能であろうと言う事は誰もが推論するところでしょう(ワッカを加熱すればできると考えた聡明な方もおられるでしょうが)。

しかし、人体は生き物です。形が変化します。乳児の頭も、出産時に変形し小さくなりますし、母体の骨盤のトンネルも大きくなります。このことは、まともな助産師(いわゆる産婆さん)なら当然知っています。

余談ですが、出産時に大きくなったトンネルを戻すために産後は最低1ヶ月は横になっておく必要があり、これをしないとさまざまな婦人病の原因となります。

さらに余談ですが、帝王切開では骨盤が広がらないわけではありません。産前に徐々に広がっていき出産時に最大に広がりますが、出産時に最大に広がった反動で骨盤は戻りますので、帝王切開するとこの「反動」が無い分骨盤の戻りが遅く場合によっては戻らなくなります(=しゃがまないとジャンプはできない)。なので帝王切開をすると婦人病になりやすくなります。

余談が増えましたが、産科においては助産師が主役であり医師は脇役です。そして、助産学でもっとも重要なのが上記のような骨盤や胎児の頭蓋骨のアクティブな動作ですが、医学部ではこのような事は一切学びません。

だから「乳児の頭が骨盤のトンネルよりでかい」という事だけをもって、自然分娩が不可能とするのは論拠不十分なんです。

第一、医師は自然分娩のことを助産師より知りません。「なんで自然分娩で母子ともに無事に産まれることがあるのか?(=大部分の出産)」という極めて基本的な事実に対する理解が、医師には乏しいのです。なぜなら、医師と言うのは「自然分娩で母子ともに無事に産まれないケースをなんとかする」ものであるからです。放っておいても母子ともに無事なものは放っておくわけですから、それに対する理解があろうはずはありません。

そして、出産に対する偏った医師の理解は「自然分娩で無事生まれるはずのケースを異常分娩として医者の出番を増やす」というバイアスとして働き、結果「無用な医療を発生させ母子を無用なリスクにさらす」というケースが増えてきます。

それに歯止めをかけようと助産学に歩み寄ったのが吉村医師でしょう。

当然、「抵抗勢力」として「自然分娩で無事生まれるはずのケースを異常分娩として医者の出番を増やす」バイアス側の人間から、フルボッコにされるであろうことは想像に難くありません。

あと、吉村医院新生児死亡事故とまるで吉村医院で新生児が死んだように言われていますが、吉村医院で死んだわけではありません。死んだのは別の病院です。

もちろん、放置しておけば吉村医院で母子ともに死んでいた可能性もありますが、推論に過ぎず事実ではありません。無事生まれていた可能性も皆無ではありません。

別の病院に搬送されたおかげで母体だけは助かったと言われていますが、それも推論です。

そして、これは同じような事例、つまり乳児の頭がでかく危険だから帝王切開しなさいと言われたけど、自然分娩にこだわって吉村医院に行って無事に産まれた例が多分他にはたくさんあるだろうと言う事を意味します。

しかし、彼ら(NATROM氏をはじめとする医師)はそういう事例を調べたり、報告したり何パーセントの確率でダメなのかという事を書くことはなく、ただ一児(もじり)をもって万事を叩こうとします。

で、普段から一事を万事としちゃダメだよという考え方であるところのRCT信奉者であるNATROM氏がそのような論法をうたうのはおかしいんじゃないのと、ちょっと皮肉ったところあの騒動なわけです。

ちなみに、うちの妻は帝王切開でしたが、医療保険やらなんやらで自然分娩より「儲かった」んですよ。おかしいですよね。