隠すほどの爪なら無い

自分自身の、この自我というものが消滅することへの覚悟はできた。苦しみからの開放・・・。だけど、だけどあと少しだけ、続きが見たい…!

NATROM氏は医療裁判の当事者になったことがないのだろう

NATROMと名乗る人がネット上にいます。

「勤務医」を名乗っていますがそれ以上の情報はしりません。プロフィール画像は顔写真ではなくフラクタル画像か何かです。プロフィールで「ニセ医療と医療の境界線に興味がある」と書かれているので、面白い人物なのかと思い当初Twitterでフォローしたりもしていたのですが、実はニセ医療叩きにとても執着しているだけの人だと言うことが分かって以来、フォローは外していました。

勤務医にしては勤務時間帯も頻繁にツイートやブログコメントをしてくるので、本当に勤務しているのだろうかという気になりますが、離島勤務だったりするのかな。

どういう経緯で彼がニセ医療を叩くことに熱心になってしまったのか分かりませんが、正論でニセ医療論者を叩き潰すのが彼のスタイルのようで、私も「ニセ医療論者」と認定されたようで激しい攻撃にさらされました。まあ、論説面だけの戦いで見たら私の「負け」なんでしょうかね。

でも世の中には負けず嫌いの人もいるんですよ(笑)。

まあニセ医療を叩くのはせいぜいがんばっていただいたらいいと思うのですが、過去のTwitterまとめサイトの中に彼がまとめたものとして、ニセ医療を堂々としている医者(元教授)にあきれた話というのがあり、NATROM氏は患者がなぜ裁判を起こさないのだと憤ったようなツイートを飛ばしていました。

これを見て、この方は医療裁判の当事者になったことはないのだろうなと確信しました。

まず、裁判そのものが理不尽極まりない制度なんですよ。たとえば、有り金を全部盗まれた。盗んだヤツに返すよう訴えたい。さて、裁判所はなんというのでしょうか。「弁護士を雇ってください」。は?有り金全部盗まれって言ってんですよ?アンタ耳あるの?って感じですね。

「カネがないから本人で行く」というと「じゃあ、印紙と切手代よろしく」「あと立証責任は全部アンタにあるんで」ってな感じですな。盗んだ方は盗んでないことを証明する義務はなくて、盗まれた方がその人が盗んだと言う確固たる証拠を出さないといけないって言うんです。

出せないと負けるんです。もちろん印紙代もパァ。

そして、月1回のペースで開催される口頭弁論(当然平日に開催される、時間もすべて裁判所が決める)へ何度も何度も出ないといけません。どんなに短い裁判でも5回くらいは出る必要があります。医療裁判は事実審になるから1年越えとかが普通じゃないでしょうかね。それで判決出ても控訴されたらまた何ヶ月とかかるわけです。

そもそも、医療被害者ならからだも弱ってるだろうしカネもない。カネがないと勝てない制度になっている日本の裁判制度で、患者サイドが勝つことが極めてまれな理由です。そこへ持ってきて、医療裁判の場合は重要証拠の「カルテ」をなんと加害者側、被告側の病院が握っています。カルテの改ざんなんて、裁判ではない方がおかしいくらいです。何とも理不尽な制度ですね。だから医療裁判で勝てることなんてほとんどないわけです。

そこら辺に精通している元教授が、小遣い稼ぎにそういうこと(病気でない患者?に温熱治療を施し高いカネを取る)くらいの事は当然今の制度上、医療「業界」の構造上ありえることですし、元教授にも裁判になっても負けないある程度の確信はあるんでしょう。

また、裁判に負けるまでも強力な弁護団を結成すれば時間稼ぎにはなりますし、その間に国外逃亡だってできます。

元教授は年老いてボケた?乱心した?とんでもありません。確信犯です。本当の医者ならそれも分かるはずです。

たとえ勝てなくても、裁判を起こすだけでプレッシャーになる?刑事告訴で検察に頑張ってもらう?医療の発展のため捨て石になれと?

まあ、もちろんそういう事もあるでしょう。でも、個人レベルの損得で考えるとまず損なんです。医療裁判で仮に勝ってもものすごく儲かることはありません。日本って間違って死刑にされても3000万円ぽっちで済まされる国なんですよ。年寄り殺しても弁償金額は安いし、医者がやったなら「業務上過失致死」になり「殺人」ではありませんからどんなにヘタを打っても死刑まではありません。

むしろ、患者サイドは裁判で負けると、ヘタしたらそれ以降家族や親せきまで診療拒否とかあるいは意図的な「誤診」をされるとかの報復がありえるわけですから、遠くに引っ越す前提でないと恐ろしくてできないでしょう。地域の病院はネットワークでつながっているってみんな知っている時代ですからね。

NATROM氏は医師免許を持っているそうなんで、是非彼らの後見人になって裁判費用を肩代わりし、意見書でも診断書でも出してあげればいいのではないでしょうか。彼らの医療も責任をもって背負ってあげると言ってあげれば、中には勇気をもつ人も出てくるかもしれません。裁判になれば医師免許はそこそこ、威力ありますよ。

そういう風に考えると、あれ、この人裁判のこと知らないのかな。ひょっとしたら、医療問題の事もあまり知らないのかな。そういう感じを覚えました。

ものすごく良くとらえれば彼は「善意はお金にならない」「悪意を換金するのが普通」ということを知らないんでしょうね。そういう意味では私の方が性悪なのかもしれません。

私は現実を診ているにすぎないつもりですけどね。