私は、鉄道が好きなのですが、カッコイイと思うと言うかツボにハマる鉄道というのは、「スゴいぜ」と喧伝してないのにすごいヤツらです。
「スゴいぜ」と喧伝するのはあまりカッコ良くありません。
本当にカッコイイと思ったヤツらは、こんなヤツらです。
1)新幹線
これは、システムデザインが昭和30年代とは思えないぐらい、優れていて格が違います。超高速輸送と同時に、何十年と無事故を守り続けた安全性の高さもそのシステムデザインのセンスがとてつもなく秀逸だからです。
まさに神と言っていいでしょう。
2)新快速
京阪神を走る新快速。これはとてつもなく速い無料の特急列車です。なんで無料かというと、京阪神では私鉄各社が特急をたいてい無料で走らせているからです。そしてスピード勝負になりました。
結果、新快速にすべての私鉄は完敗です。一時期は料金の安さで私鉄は勝負していましたが、最近では料金も変わらなくなってきました。新快速は速すぎます。そのライバルは、私鉄ではなく新幹線であると言われています。実際、京都駅のホームに今立っていて、大阪に行こうと思ったとします。大抵の場合新快速の方が新幹線より早く到着できるんです。新幹線は新大阪到着だから乗り換えロスが発生するからです。
「セコい」?違います。JR東海道線は2回も淀川を超えているのですよ。新幹線は距離を削るために淀川を超えていません。それでこの速度を実現。最高速度にして倍以上の差を、互角に戦う。まさに神です。
3)500系新幹線
これはフォルムがカッコイイんです。そして、そのフォルムのせいで室内空間が狭いんですよ。荷棚にほとんど荷物が載らず、大変不評でした。しかし、居住性を犠牲にしてでもあくまでスピードを追求するその姿勢にはスピリットを感じずにはいられません。機能的必然性に裏打ちされたフォルムこそが美しい・・・。それを具現化した列車だと言えるでしょう。
4)683系はくたか
言わずと知れた首都圏-北陸の連絡特急です。上越新幹線から乗り換えで越後湯沢-金沢を走ります。圧巻は北越急行路線内の160km/h走行。当然在来線最高速度です。しかも在来線は遠回りしている区間をトンネルを掘って最短距離をショートカット。また、特急列車以外にも高加減速度の普通列車を投入し、地元の足としても活躍しています。コンセプトは完全に新幹線と同じです。北陸新幹線が開業しても、現在のはくたか利用に比べて所要時間はあまり短縮しないと言われています。それくらいはくたかは速いのです。
5)スーパー北斗
函館-札幌を結ぶ、ディーゼル特急列車です。これは、なんと平均的な電車特急よりはるかに高速です。秘密は強制振り子システム。列車の通る区間のカーブを運転台のコンピューターが記憶していて、カーブに合わせて車体を傾けます。これにより曲線通過速度がアップ。なんと3時間を切る運航を可能としました。この区間は飛行機との競合になっており、3時間が勝負のデッドラインと言われています。自ら速いなどと喧伝はしません。速いと喧伝しようが遅ければ利用者は飛行機を選ぶのみです。ただ、速くなるしかないから速くなった。カッコイイですね。
こうして見ていて思うのは、速いヤツらは速くなる理由があったから速くなったし、だからそのことをいちいち喧伝してもしなくても関係ないのよね、って言うことです。
逆に言うと今遅い列車は速くなる必要がないからノー天気に遅く走っているわけです。そう考えると、やっぱり整備新幹線が260km/h走行に甘んじているのは、というか甘んじていられるのは、遅くてもかまわないから遅いわけで、「そのうち速くするよ」とか「法律で決まってるから」とかのたまっても、いずれにせよ美しくないんですよ。
隠すほどの爪などない、と言ってほしいのですよ。