私も理系人間の端くれなので、こういうニュースに水を差すのもやや気が引けるのですが、理詰めで考えるとこうなります。
もともと、バラには青い色素がないので、自然交配・人工交配のいずれの方法でも青い色素が発生することはありえず、したがって「青いバラは不可能」なのであったわけです。
逆に言うと、「青い色素を持たない」のがバラの特徴でもあったはずです。
そこに、青い色素を発生させる遺伝子をバイオテクノロジーを使って「無理やり」バラに組み込んで、青い色を出せるようにしたということです。
昨今のバイオテクノロジーを持ってすれば、技術的難易度は別にしてこのようなことが可能であることは誰にでもわかっていたことであり、それを「不可能を可能にした」というように報道するのはやや過大報道ではないのかなと感じました。
わかりやすくたとえると、日本人には自然交配では金髪・碧眼の子供は誕生しません。
金髪・碧眼の子供を作るには、金髪・碧眼の人との間に子供を作るしかありませんが、その子供はハーフですから遺伝子的に「日本人」かどうかは怪しいです。
もちろん戸籍上は日本人にすることも可能でしょうが、それなら最初から金髪・碧眼の人間を日本に帰化させるのが一番手っ取り早いでしょう。
でも、その人は「日本人」なんでしょうか?
まあ、それを言い出すと生物学的に「バラ」とはなんぞや?という話になってしまう気がしますが、少なくとも「青いバラ」はバラではない、とそういうことです。
実際、開発者もそのようなことはわかっているのでしょうが(実際、この花には「アプローズ」という名前が与えられており、バラの一種という扱いにはなっていない)、マスコミが視聴者の興味を引くように誇張して報道しているように思います。
この花は「バラのような形をした青い色の新種の花」であり、バラではないというのが正しい理解だと思います。